2013年10月24日木曜日

ベートーヴェン英雄の出だし

こんにちは!宮城敬雄です。
コンサートまであと6日に迫りました。台風が二つも近づきうーん晴れて欲しいな!
兼松講堂でのリハーサルが25日から2日間あり台風がきたら大変。毎日天気図と予報に神経を尖らせています。
正しく神頼み!子供の頃は母からいつも良い子にしていたらバチは当たらない。て言われてたことをふと思い出してはいるものの自然災害だけはどうにもならないかも。
先週は元東フィルの弦楽四重奏にきてもらい弦楽だけでベートーベンの交響曲二番と三番を2日間リハーサルしました。
テンポの設定から指揮の細かなポイントまで普段は指揮者に言えない指摘まで含め三時間の濃密な練習をやり、クタクタ!
管楽器や打楽器が無い分弦楽だけのアンサンブル、合奏は曲の基本部分でもあり弦楽器約40名の中で各パートのトップとのコミュニケーションは曲を創る上で一番大切な部分です。勉強会みたいなもので経験豊かな四人のトップ奏者達は気になることはなんでもいってくれます。微妙なニュアンスの伝え方からテンポの移り方、たとえば英雄の冒頭部、ジャン!ジャン!と全部の楽器が和音を力強く弾くのですがバイオリンだけが四つの音を同時に、セカンドバイオリンは三つの音を、ビオラは二つの音をチェロとコントラバスは一つの同じ音をみんな同時にジャン!ジャン!と二回弾いて次の主題に入るのですが、その四つの音をピアノのように和音として弾くのか、アルペジオのように少しずらして弾くのか、ずらすとそれだけある幅の音が一瞬の合奏の中で微妙なニュアンスが醸し出されるかもしれないのです。何故ベートーベンがそんな楽譜にしたのか?一楽章の冒頭部のジャン!ジャン!は一楽章の最後の締めのジャン!ジャン!も同じ音型で終わるのです。
一つのストーリーをベートーベンはイメージしその最初と最後にこんなに複雑な沢山の和音を弦楽器奏者に弾かせて音の厚みと言うか太さというか余韻というか重さというか、例えが飛躍しますが光には七色の虹がチョット屈折させるとプリズムの中でみえますよね?一筋な光にもわずかなずれで七色にみえると一瞬でもわ!綺麗!とかへ?不思議なかんじする!とかありますね。音も単音だけだと一つの色。和音になると違う色に。一瞬でもずらすと更に複雑な色に見え何かメッセージが違ってくるように感じるのです。
そんな冒頭部一つとっても四人だけでやってみると違いがわかりとても面白いのです。
昔フルトベングラーというマエストロがベルリンフィルを今から約65年前に録音され今だ世界中にファンが沢山いる一連の演奏はこのジャン!ジャン!もジャン!ではなくグジャン!みたいな、そしてだれよりもチェロとコントラバスが先に低音を出して後からその他楽器がジャン!とやっています。ドイツの伝統的な弾き方なのか分かりませんが一瞬の合奏でさえ微妙なアンサンブルがあったりで興味深いものがあります。
日本のオーケストラは正確で一糸乱れずがそのオーケストラの合奏能力のレベルを示し、グジャン!なんてやろうものなら指揮者の棒が悪い!なんて言われるかもしれませんね。こんなチョットしたとこにもオーケストラという強大な人間勢力、専門家達のプライドや感情が指揮者に向けられのですから余程の鈍感かタフな精神力がないと 指揮者は結構辛い仕事かも知れません。でもオーケストラの奏者達は一人一人はとても音楽が大好きな純粋な人達。結局悪いのは指揮者ということなんだといつも自己反省ばかりなんです。
台風が逸れますように!

コンサートまでに!
明日からいよいよ兼松講堂でオーケストラとのリハーサルに入ります。
高輪プリンセスガルテン宮城敬雄